定跡裏街道~角交換振り飛車編~ で紹介したノーガード四間穴熊について質問を頂いた(
1,
2)ので、その解答です。ちなみに
2 のリンクでは ID: ura_jouseki_tou で回答しているのが私です(本人確認のため一応)。
ノーガード四間穴熊は、門倉先生も指した事のある角交換四間飛車です。戦法の紹介の中で、プロの実戦譜(
2011-08-02 東急将棋まつり ▲門倉啓太△佐々木勇気)を変化の一つとして取り上げています。実際に紹介しているのは先後が入れ替わった形で少し異なるのですが、問題となっているのは図1です。
書籍中で図1は後手十分と書いているのですが、▲1一馬△2九飛成▲4四馬△1九龍▲5九銀(第2図)で先手良しではないかという質問です。ちなみに著者の意図としては図1から▲1一馬△2九飛成▲4四馬△4二飛(第3図)を考えていました。
第3図から▲3三馬なら△2二角▲4二馬△1九角成が厳しく後手十分。▲4三銀などの合駒はすべて△同飛~△6六桂があります。そこで第3図では▲7七馬ですが、△1九龍と駒を拾っておき、▲5九銀なら△4六歩▲同歩△同飛(第4図)として次の△6六桂を狙ってどうかと思っていました。
ただ何にせよ後手十分というのは肩入れし過ぎでしたね。ご容赦ください。^^;
ところで執筆時には気が付いていなかったのですが、後々まったく別の受け方がある事に気が付きました。ちょうど良い機会なので、その手順を合わせて紹介したいと思います。
まず第1図に至る手順で先手が▲3三角と打つ局面があります(第5図)。第6図以下△6二飛▲2二角成△2一金▲同馬△2八飛とすると第1図に戻るのですが、△6二飛に代えて△4五角(第6図)という手がありました。これが滅法受けにくい。
第7図では①▲8八玉、②▲6七金、③▲5六歩(▲5六桂)が考えられるので、それぞれ書いてみます。
第6図以下の指し手①▲8八玉
①▲8八玉には△8九角成▲同玉△7七桂▲7八玉△6九桂成▲同玉△6二飛(第7図)と進めます。最終手は△4一飛もありそうです。第7図は第1図より玉形を乱しているぶん後手がかなり得をしています。難解ですが、一方的に攻める事ができそうなので後手を持ちたいです。
第6図以下の指し手②▲6七金
②▲6七金には△4三飛▲2二龍△同金▲同角成△4九飛(第8図)と進めて後手十分です。
最終手△4九飛では△2八飛も考えられるのですが、▲3二馬△4八飛成▲5八金打(第9図)で紛れるので、△4九飛のほうが良いかと思います。
第6図以下の指し手③▲5六歩
そこで③▲5六歩△同角▲6七桂(単に▲5六桂でもほぼ一緒)と受けるのが良さそうという事になりますが、対して△4一飛(第11図)と進めると、先手に桂馬を打たせているため、これも第1図より後手がかなり得をしているように思います。
以下△4一飛▲2二龍△同金▲同角成△6五角(第12図)などと進めて、難解ですがこれも後手を持ちたいです。
「…こんな変化があったとは!」と後々気が付いたので、是非こちらの手順も活用してみてください。
最後になりますが、どうやら門倉流の変化が今月の将棋世界の付録に解説が載ったみたいですね。将棋世界は手元にないので確認できないですけど、今回書いた変化や以前の変化についてどのような見解になっているかは気になるので、いずれ読んでみたいと思います。
将棋世界 2013年 01月号 [雑誌]載っているのはこれみたいですね。