一月も半ばですが、明けましておめでとうございます。今日の本題はツノ銀。でもツノ銀を指す人、最近いませんね。私は第1図のような形を昔研究していた事もあり、ツノ銀対居飛車穴熊はだいたい互角と思っているのですが、玉形が薄過ぎる事から第1図のような△6三銀型のツノ銀は指す人が減ってしまった印象があります。有力だと思うのですけどね。
と書いていたら、新年早々プロ間でもツノ銀が登場している事に気が付きました。
2013-01-08 第71期順位戦 西尾明 vs 矢倉規広。これは珍しい! ただ今回はこの棋譜については語らず、最近閃いた新しい指し方を紹介してみます。
初手からの指し手
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△4二銀▲5六歩△5二飛▲5八金右△6二玉▲6八玉△7二玉▲7八玉△8二玉▲2五歩△3三角▲5七銀△7二銀▲7七角△5四歩▲8八玉△4三銀▲9八香(第2図)
第2図までの駒組みは先後共に様々な変化の余地がありますが、最も遭遇頻度の高そうな形を取り上げてみました。
△8四歩!▲9九玉△8三銀▲8八銀△7四歩▲7九金△7三桂(第3図)
先手が▲9八香と穴熊を目指した手を見て、△8四歩~△8三銀と銀冠を目指すのが新しい構想です。至極単純な構想ですが、これにより後手から様々な仕掛けが生まれ、また守りの銀が戦線から遠ざかった事で玉も固くなっています。第3図までの駒組みは端歩が突いてないため若干奇異に見えるかも知れませんが、駒組みを急ぎたいので省略しています。ところで銀冠の構想について補足しておくと、左美濃(または位取り)対銀冠ツノ銀のプロ棋譜は結構あります。ただし居飛車穴熊に対して銀冠で立ち向かう指し方は見つかりませんでした。
第3図以降は先手が▲6六銀型の穴熊を目指すか、▲6六歩型の穴熊を目指すか、また後手が攻撃を主体にするか、守備を主体にするかで大きく指し方が変わってきます。つまり典型的な指し方が合計4パターン考えられます。今回は狙いの一番わかりやすい▲6六歩・後手攻撃型を紹介してみます。
▲6六歩△7二金▲6七金△9四歩▲3六歩△9五歩▲5九角△4二角(第4図)
後手は先手が▲3六歩と突いた形、▲5九角と引いた形を見て△4二角とするのがポイント。△4二角はどこかのタイミングで△6四角と出る事を狙った手で、この筋が銀冠ツノ銀の一つの狙い筋となっています。角出を見せられた先手は意外と手が難しいです。
ただしあまり早い段階で△4二角とするのは▲8六角(第5図)とぶつけられて意外と冴えません。陣形を整備しながらじっと端歩で力を蓄え、先手が角を引くまで端歩でプレッシャーをかけ、手数の調整をするのが良いと思います。
第4図からも色々な変化が考えられ簡単ではないですが、私はツノ銀側を持ってみたいです。何十局か指してみたのですが、通常のツノ銀より押さえ込みやすく玉も固いので、かなり指せる印象があります。
ツノ銀、復活するかな?